沖縄の海と砂浜を行き来するウミガメは、その環境の変化を私たちに伝える存在でもあります。
産卵海岸のパトロールや巣の保護、負傷したウミガメの救助、市民参加型の調査、子どもたちへの環境教育。こうした活動を通して、ウミガメと沖縄の沿岸環境を支えているのが「ちゅらむら沖縄沿海保全」です。
活動を始めたきっかけから、水深約15メートルで行われた救助、今回のコラボに込めた思いまで、活動名「ちゅらむら」のカールさんに伺いました。
2020年、ウミガメの巣を守ることから始まった
活動が始まったのは、2020年のことでした。
コロナ禍によって海岸を訪れる人が減る一方で、ウミガメの産卵が増加。地域の仲間とともに巣を保護したことをきっかけに、活動は海岸清掃や救助、調査、環境教育へと広がっていきました。
法人としての正式名称は「美村沖縄沿海保全」。一方の「ちゅらむら」は、活動を地域の人たちに親しみやすく伝えるための名称です。
そこには、美しい海を中心に人々が集まり、地域全体で自然を支える“村”のような存在になりたいという思いが込められています。
ウミガメを通して、海と砂浜の変化を見つめる
絶滅危惧種であるウミガメは、海だけでなく、産卵のために砂浜も利用します。そのため、海と砂浜の両方で起きている環境の変化を伝える、象徴的な生き物でもあります。
ウミガメを保護することは、産卵場所となる砂浜や沿岸の生態系、そこに暮らす多くの海洋生物を支えることにもつながります。
カールさんは、ウミガメの保護を行政だけに任せるのではなく、自分たちにも担うべき責任があると考えています。
その思いを軸に、現在は産卵調査と巣の保護、24時間対応のレスキューホットライン、海岸清掃、ゴーストネットの回収、個体識別などの科学調査、子どもたちへの環境教育に取り組んでいます。
それぞれが「調査する・守る・伝える」という役割を担っています。
毎朝、沖縄本島約60キロの海岸をパトロール
ウミガメの産卵シーズンには、研修を受けたボランティアが毎朝、沖縄本島の約60キロにわたる海岸をパトロールします。
足跡や巣の位置を記録し、危険な場所では必要に応じて保護措置を実施。孵化後には、巣の発掘調査も行います。
市民やダイバーが参加する「沖縄タートルスポッターズ」も、活動を支える重要な取り組みです。
寄せられた写真から顔や甲羅の模様を照合して個体を識別し、目撃された場所や時期を記録します。これまでに識別したウミガメは、300頭以上。同じ海域で長期間暮らすタイマイの存在など、個体ごとの移動や生息状況も少しずつ分かってきました。
市民やダイバーが撮影した一枚の写真が、ウミガメの生態を知り、今後の保全活動につなげるための記録になります。
9人のダイバーが追った、体長約110センチのアオウミガメ
これまでの活動で特に印象に残っているのが、昨年秋ごろに行われたアオウミガメの救助です。
数年にわたりその個体を心配していたダイバーたちから、体長約110センチの雄のアオウミガメに関する情報が寄せられました。ウミガメは「FP」という病気を患っていました。
救助のためにボート2隻をチャーターし、9人のボランティアダイバーによる救護隊を編成。水深約15メートルまで追跡し、無事に保護して治療へとつなげました。
団体によると、FPを患ったウミガメの救助と治療は、日本で初めての試みだったといいます。
一頭の命に向き合うため、多くの人が力を合わせた、忘れられない救助活動となりました。
「かわいい」から、「自分に何ができるだろう」へ
目の前の命を救うだけでなく、海で起きていることを次の世代へ伝えるのも、大切な活動の一つです。
環境教育を受ける前は、ウミガメを「かわいい動物」として見ていた子どもたちも、海の環境について学ぶことで、「自分に何ができるだろう」と考え始めます。
実際にごみを拾ったり、学んだことを家族に伝えたりする姿から、カールさんたちは、教育が未来の保全につながっていることを実感しています。
商品を手に取ることを、海岸での活動へ
こうした活動を継続・発展させるためには、調査・救助用の車両や機材、専門スタッフの人件費、研究費、活動事務所の費用などへの継続的な支援が必要です。
資金面だけでなく、ボランティアや企業、研究機関との協力も、活動を支える大きな力になります。
今回のコラボによる寄付金は、産卵海岸のパトロールや巣の保護、負傷・漂着したウミガメの救助、調査機材の購入、海洋ごみやゴーストネットの回収、子どもたちへの環境教育などに活用される予定です。
最後に、今回の商品を手に取ってくださる皆さまへ、メッセージをいただきました。
「商品を手に取ってくださることが、沖縄の海とウミガメを守る具体的な一歩になります。海を守る活動は、一部の専門家だけではなく、誰もが参加できます。皆さまと一緒に、美しい沖縄の海を次の世代へ残していきたいと思います」