コレクション: NPO法人 ことりのおうち

鳥も、小動物も、そして人も。命に線引きをしない。―保護・ふれあい・地域活動を通して広がる「ことりのおうち」のかたち―

鳥や小動物の保護から、ふれあいインコカフェ、子ども食堂、シェアカフェまで。
「ことりのおうち」の活動は、一見すると幅広く、それぞれ別の取り組みにも見える。
けれど、その根底にあるのは一つ。命に線引きをしないこと。

ペットショップに並ばない鳥たちの存在を知ったことから始まった保護活動は、いまでは一般家庭からの引き取り、行政・警察と連携したレスキュー、さらには地域での子ども支援へと広がっている。

今回は、ことりのおうちの代表の髙見さんに、その活動の背景と現在地、そしてこれからについて話を聞いた。

1.見えなかった命に気づいたことが、すべての始まりだった

―まず、ことりのおうちとして、鳥や小動物の保護活動を始めるに至ったきっかけや背景を教えてください。

髙見さん:
きっかけは、もともと自分たちが業者だったことです。インコカフェを運営し、生体販売も行う中で、問屋さんにいる傷ついている子や、障害がある子たちが、ペットショップには並ばない現状を知ったんです。

人間は動物に癒やしをもらっているけれど、その裏で陽の目を見ていない動物たちがいるんだなと知って、そこから保護活動が始まりました。


2. 見えなかった命に気づいたことが、すべての始まりだった

―現在、ことりのおうちではどのような活動を中心に行われていますか?

髙見さん:最近は、問屋さんからというより、一般家庭からの持ち込みが多いです。あとは、行政や警察と一緒に生活困窮者のところへ引き取りに行ったり、飼い主さんが孤独死して、動物だけが取り残されていたケースで、警察と一緒に対応したりしています。

持ち込まれる子たちが、全体の半分近くを占めていますね。

―その中で、特に時間を要していることや、大変だと感じる部分はありますか?

髙見さん:やっぱり日々のお世話です。今、大体150羽前後いるので、最低限、餌と水、掃除は毎日やらないといけない。でもそこはお金を生む部分ではないので、ボランティアさんたちの協力のおかげで、どうにか維持できている状態です。

―ボランティアさんは何人くらいいらっしゃるんですか?

髙見さん:45人ですね。ただ、週1の方もいれば月1の方もいます。今はB型事業所を別で立ち上げていて、障害のある子たちと一緒に朝の水替えをするなど、そこで一つ役割を持てる形にもしています。

3. 一般家庭・行政・警察へ──広がり続ける保護の現場

―保護された鳥たちを迎え入れる際、どのようなケアや環境づくりを大切にされていますか?

髙見さん:ここはどうしても継続的に費用がかかる部分ですが、まだうちは必要最低限のことしかできていません。

とにかく、冷暖房の整った部屋を用意して、掃除をしてあげられる環境を保つ。今のところは、そこまでが精いっぱいですね。


4. 理想ではなく現実から──「最低限」を守るための環境づくり

―これまでに保護してきた鳥たちの中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

髙見さん:やっぱり、役所の人とレスキューに行って、部屋に560羽が放し飼いになっていた現場ですね。壁に穴が開いていて、その中でも卵を産んでいる状態で、壁を叩いて追い出して捕まえる、そうした状況での保護活動もありました。

それから、ヘルパーさんか介護士さんと一緒に来られたケースもあります。あるおじいちゃんが「また迎えに来るね」と言って入院されたんですけど、ヘルパーさんの話では、もう退院はできないと。でも、おじいちゃん本人は退院するつもりでいる。そういう時に、「里親を見つけちゃって大丈夫です」と言われることもあるんです。

あとは、12年前だったと思うんですけど、ニュースにもなった件で、鳥が郵便で送られてきたことですね。匿名で送られてきて、袋を開けたらセキセイインコが入っていた。あの出来事は、今でも忘れられません。

―郵便で、そのまま送られてきたんですか?

髙見さん:そうです。プラケースに入れて、紙袋に入れて、ゆうパックか何かで送られてきました。送り主の名前も住所も書かれていなくて。
生きていたからよかったですけど、もし死んでいたら大変なことでしたし、送り主が分からない状態というのは、うちとしても本当に困る。あってはならないことだと思います。

5. 560羽の現場、届いた命──忘れられない保護の記憶

―ことりのおうちとして、この活動を誇りに思う部分や、団体としての強みはどこにあるとお考えですか?

髙見さん:24時間体制で、困った鳥や動物を受け入れられていることですかね。

24時間体制、というのは?

髙見さん:夜中でも、困っていれば引き取ることもありますし、電話で相談に乗ることもあります。そういう意味で、いつでも動ける体制をとっている、ということですね。


6. 24時間、命に応える──ことりのおうちの強み

―今回、アパレルでコラボさせていただくにあたって、ことりのおうちとして、どのような可能性や広がりを期待されていますか?

髙見さん:鳥の保護活動は、まだ十分に知られていない分野だと思います
なので、一般の方たちにもそういう活動があることを知ってもらって、ペットショップから買うだけではなくて、里親募集制度もあるんだよ、行き場のない子たちを迎えて幸せにしてあげることもできるんだよ、ということを知ってもらえるきっかけになればいいなと思っています。

 7. 「知ること」が支援になる──コラボに込めた期待

―ふれあいインコカフェを運営されていますが、この活動にはどのような目的や想いがあるのでしょうか?

髙見さん:鳥を飼ったことがない人、特に子どもたちにとって、命の大切さを知るきっかけになればと思っています。

いきなりペットショップで購入する前に、鳥がどういう特性を持っているのかを、触れ合いながら知ってもらうきっかけを作れたら、という思いでスタートしました。


8. 飼う前に、知る──ふれあいカフェが担う役割

―鳥の飼育や保護活動について、一般の方にまだあまり知られていない現状や課題があれば教えてください。

髙見さん:飼えなくなった人が外に逃がしてしまうことがあるんです。逃がす人は「広い空に」という思いがあるみたいなんですけど、飼い鳥は自然の中では生きていけません。基本的にはカラスにやられてしまうし、それは結局、その鳥の命をなくすことにつながってしまいます。

もし手放さなければいけない事情があるなら、そういう時こそ保護団体に相談してほしい。そのことを知ってほしいですね。

9. 「逃がす優しさ」が命を奪う──知られていない現実

―地域活動として、こども食堂などにも取り組まれていますが、動物活動と地域活動を一緒に行う理由を教えてください。

髙見さん:保護活動をやっている中で、やっぱり地域の人たちにも、子どもたちにも、命の大切さを知ってほしいという思いがあるんです。子ども食堂に来ている子どもたちにも、保護動物のお世話を体験させたりしています。

中には、「お金は全部子どもに使ってください」と言う人もいれば、逆に動物のために寄付している人の中には、「もっと動物に時間を使ってほしい」と言う人もいます。でも、うちとしては、その時点で命に線引きをしたくないんです。

動物も、子どもも、大人も、高齢者も、みんな同じ命ですよね。そこを分けることはできないし、両方やることで、お互いに意味がある、メリットがある、命を学ぶきっかけになっているんだろうなと思っています。


10. 命に優先順位をつけない──動物と地域をつなぐ理由

―シェアカフェ「長後食堂」を始められた理由や、そこに込めた想いを教えてください。

髙見さん:インコカフェをやっていると、全国からお客さんが来るんですけど、その中で「他に楽しめるお店はないですか」とよく聞かれるようになって。長後にはそういうお店があまりなかったので、そこから長後の活性化に興味を持つようになりました。

ただ、自分自身はすでにお店をやっているので、新しいお店を自分で増やすのは難しい。じゃあ、自分が店に立たなくても、シャッターを開ける方法はないかなと思って、シェアカフェを作ったんです。

近所のおばちゃんたちが飲食店をできるような仕組みになったらいいなと思って始めました。

―実際に、そういう形で使われているんですか?

髙見さん:最初に思い描いていた近所のおばちゃんたちそのものではなかったですけど、過去に20件くらいの方たちが使ってくれました。1回きりの体験の方もいれば、23年続けた方もいます。

過去に4人くらいは、ここでお店をやってから独立して、自分のお店を持って活動しています。ステップの場所としても意味があったのかなと思いますし、それがきっかけで子ども食堂もするようになりました。

11. 地域にをつくる──長後食堂という挑戦

―最後に、このインタビューをご覧いただく皆さまへ、ことりのおうちとして伝えたいメッセージをお願いします。

髙見さん:さっきも言ったように、動物も子どもも、命に線引きをしないで助け合える地域づくりになればいいなと思っています。

保護の活動も、実際にボランティアができなくても、月1000円からの継続型クラウドファンディングなどで関わってもらうこともできます。そういう形でも一緒に賛同してもらって、1羽でも多くの動物や、子どもの命につながる活動を、一緒にやってくれる人が増えたらいいなと思っています。