猫を救うために、できることは何か。
── CATS WELCAREが続ける「保護」と「譲渡」、そして“つながり”の話
保護活動の現場には、野良猫の保護だけでなく、飼育放棄や多頭飼育崩壊など、さまざまな背景から行き場を失った猫たちがいます。
CATS WELCAREは、猫を保護し、新しい家族へつなぐ活動を続けてきました。
そしてもう一つ、この団体が大切にしているのが、
「ねこのしあわせのために。ひとのしあわせのために。」という姿勢です。
猫だけを見るのではなく、猫に関わる“人”も大切にしたい。
その考えは、活動の随所に表れています。
今回は、CATS WELCARE代表の川越さんに、理念の背景から現在の取り組みまでを聞きました。
1,「ねこのしあわせのために。ひとのしあわせのために。」に込めた理念
―「ねこのしあわせのために。ひとのしあわせのために。」という言葉が印象的ですが、このスローガンに込められた思いを教えてください。
川越さんー保護活動なので、もちろん猫の幸せのためにやっています。ただ、保護活動をしている団体の中には、人に対して厳しくなりすぎてしまうところも少なくありません。でも、猫に関わる人たちって、それぞれ事情があって、それぞれの形で猫を愛しているんですよね。
私たちの価値観で「あの飼い方は良くない」「このやり方は間違っている」と決めつけることが、必ずしも正しいとは限らない。猫のことを思っている気持ちが同じなら、人に対しても優しくした方が、結果的にみんなが幸せになると思うんです。
猫に関わる人が幸せであれば、きっと猫も幸せになる。だから猫だけにフォーカスするのではなく、その周りにいる人たちの幸せも一緒に考えられる組織でありたい、という思いがあります。
2,TNR活動をきっかけに、CATS WELCAREが立ち上がるまで
―活動を始められたきっかけや背景を教えてください。
川越さんー子どもの頃から動物は好きでした。ムツゴロウ王国で働きたいと思っていた世代ですね(笑)。ただ、大人になってからは動物とは関係ない仕事をしていました。
それでも動物が好きなので、犬や猫のボランティアにはずっと関わっていて。最後にやっていたのが、今でいうTNR、地域猫活動のお手伝いでした。
TNRでは基本的に元の場所に戻すのですが、子猫や人にすごく慣れている子など、戻すには厳しい子もいます。そういう子たちを「保護する」という選択肢を作りたいと思い、この団体を立ち上げました。
―最初はカフェからではなく、シェルターだったんですか?
川越さんーそうですね。元々はシェルターです。里親探しをするには、どうしても実際に猫に会ってもらう必要があるので、人が来られる場所としてのシェルターという形でした。
食べ物を出すカフェではないですが、人が来て猫と触れ合って、譲渡につなげる。古い店舗(ドーム前店)も、そういう形からスタートしています。

3,保護・譲渡を中心とした、現在のCATS WELCAREの活動
―現在の主な活動内容について教えてください。
川越さんー基本は保護して、譲渡につなぐ活動です。最近は飼育放棄や多頭飼育崩壊からの保護が増えています。
活動を始めた頃は野良猫の保護が多かったんですが、猫ブームやコロナ禍の影響もあって、飼いきれなくなって手放されるケースが増えました。
入り方はさまざまですが、最終的には保護した猫を新しい家庭につなぐ譲渡活動が中心です。
ーマルシェやイベントへの参加もされていますか?
川越さんー物販イベントには少し参加していますし、新しい店舗(あべの店)ができたので、ここでイベントを行うこともあります。
本業に近いところでは、やはり譲渡会ですね。
4,猫との共生を「社会資源」と考える理由
ー猫との共生を「社会資源」と捉える考え方について、背景を教えてください。
川越さんー動物好きな人には当たり前かもしれませんが、動物とほとんど触れ合わずに大人になる人も増えています。
今は個人主義で、単身者や高齢の一人暮らしも多く、孤独を感じている人が多い社会ですよね。
動物と過ごすことで得られる癒しや温かさは、生活の質を上げてくれる力があると思っています。
言葉で「動物っていいよ」と伝えるのと、実際に触れて感じるのとでは全然違います。
ここに来て触れ合ってもらい、「動物と一緒にいるっていいな」と実感してもらえる機会を提供したい。
それが結果的に社会にとっての価値になるのではないかと思っています。
ー猫と触れ合ったことがない方も来られますか?
川越さんー猫は好きだけど飼ったことがない、という方は結構多いですね。
清潔さへの意識や、アレルギーへの不安から、子どもの頃に動物と触れ合わずに大人になった方も多い印象です。
初めて猫に触れるという方はいらっしゃいます。
5,高齢者への譲渡にも向き合う理由と、その条件
ー高齢者への譲渡にも取り組まれていますが、その理由を教えてください。
川越さんー高齢者は増えていますし、保護しなければならない猫も増え続けています。
年齢だけで譲渡を制限してしまうと、どうしても行き場のない猫が出てきます。
もちろん高齢者特有の課題はありますが、若い人にも別の課題があります。年齢だけで線を引くのは違うと考えています。
猫は犬ほど「役に立つ」イメージはないですが、高齢者が飼うなら犬より猫の方が向いている場合も多い。
一人暮らしで寂しさを感じている方にとって、猫が伴侶のような存在になることもあります。
ー譲渡の条件はありますか?
川越さんー例えば70歳の方に子猫を譲渡することはしていません。20年後のことを考えると現実的ではないので。
生活が困窮している方にも譲渡は難しいです。病気になった時に医療にかけられないのは猫にとって不幸なので。
条件を設けた上で、高齢者の方とも一緒に「譲渡できる形」を探していく、という姿勢ですね。
6,活動の魅力・やりがい
ーこの活動の魅力はどんなところにありますか?
川越さんーみんな動物が好きだからやっている、というのが一番ですね。
最初は怯えていた猫が、少しずつ人と心を通わせるようになる。その変化を見るのは本当に幸せです。
ー誇りに思っている点はありますか?
川越さんー1匹1匹をよく見て、大切にしているところでしょうか。
当たり前のことかもしれませんが、それを大事にしているつもりです。

7,印象に残っている保護エピソード
ー特に印象に残っている出来事はありますか?
川越さんー多頭飼育崩壊はやはり大変ですね。引き上げた後の置き場所の確保も含めて、負担が大きいです。
印象に残っているのは、下半身麻痺のある野良の子猫です。
凶暴で、足は壊死していて、治療も本当に大変でした。噛まれながら毎日治療して、最終的には人に慣れて、麻痺は残ったままですが、引き取ってくださる方が見つかりました。
あの子は、誰にも気づかれずに死んでいたかもしれない。でも今は愛されて生きている。それは本当に嬉しかったですね。
8,SNSを通じて生まれる支援と人とのつながり
ーSNSや広報にも力を入れていますね。
松田さん(SNS担当)ーInstagramとXは毎日投稿しています。
投稿を見て来てくださって、里親になってくださる方もいますし、タオルなどの物資支援につながることもあります。
ーSNS経由の来訪は多いですか?
松田さん(SNS担当)ー多いですね。来てくださった方に聞くと、InstagramやXを見て来ました、という方が多いです。

9,アパレルコラボによって広がる可能性
ー今回のアパレルコラボについて、どのように感じていますか?
川越さんー正直、私たちも初めてなので未知数ですが、今まで接点のなかった方に団体を知ってもらえるきっかけになるなら嬉しいですね。
10,支援を考えている人へ伝えたいこと
ー最後に、読者や支援者へのメッセージをお願いします。
川越さんー私たちは、人間が不幸にしてしまった動物たちを助ける活動をしています。
猫は本来、人と一緒に暮らす前提で生まれてきた動物です。それなのに商業主義の中で増やされ、飼えなくなれば捨てられる。人間が作り出した不幸がたくさんあります。
そして保護活動の現場では、ときに「正しさ」が人を追い詰めてしまうこともあります。
でも、猫を大切に思う気持ちがあるなら、関わり方は一つじゃない。
猫だけにフォーカスするのではなく、猫に関わる人の幸せも一緒に考えることが、結果的に猫の幸せにつながる――それが私たちの考えです。
直接猫に関わらなくても、チャリティーアイテムを購入することで支援はできます。
「自分には関係ない」と思わず、少しでも応援する気持ちを持ってもらえたら嬉しいです。

