コレクション: 社会福祉法人 日本介助犬福祉協会 nikaf assoc


Q 介助犬について教えていただけますでしょうか?

「介助犬」と聞いて皆さんは何を想像されるでしょうか。
おそらく皆さんが想像されるその犬たちは、ユーザーである人の目や耳の代わりとなっているのではないでしょうか。


実はそれは介助犬ではなく、「盲導犬」や「聴導犬」と呼ばれる犬たちなのです。
今回は手や足に障がいのあるユーザーのサポートを行う「介助犬」について紹介します。


まずは我々を取り巻く環境に目を向けてみましょう。 2017年時点で全国に肢体不自由者は「約193万人」、そのうち介助犬の提供を希望 されている方は「約1000人を下らないと推計されているそうです」。

しかし令和5年10月時点で認定されて実働している介助犬の数は、僅か58頭です。※厚生労働省統計に基づく

では何故ここまで介助犬希望者と介助犬の実働数に差が見られるのでしょうか。 その1つの理由は「介助犬の育成に時間を要する」からです。 というのも一頭の育成には約2~3年がかかります。

介助犬の基礎訓練は基本的には専門の訓練センターで行われます。
しかし各ユーザーのニーズに合わせた訓練は、ユーザーが共に訓練(合同訓練)に参加する必要があります。


介助犬は障がいのあるユーザーの手足になるわけですから、求められることは盲導犬や聴導犬よりも多岐に及ぶのです。


そのニーズに応えるためにはユーザーが住まわれる地域まで赴く必要があり、その分だけ育成が完了するまでに時間を要することになるのです。


Q育成訓練すればどんな犬でも介助犬になれるのですか?

全ての犬が介助犬になれるわけではなく、性格面での素質が求められます。
それが「ほどほどの好奇心」です。


ユーザーのニーズに応えるためには介助犬となる犬自身にも考える力が求められます。しかし好奇心がありすぎても介助犬としてユーザーの支えとなることは困難です。


この絶妙な素質を見極めるためには、やはり相応の時間を要します。

Q費用面はどれぐらいかかりますか?

そしてそれらは伴って資金面でも壁が存在します。

先ほど述べた通りユーザーのおられる地域に赴いて訓練を行うため、その交通費が必要です。


それから介助犬を育成するための餌代などのお金も必要になります。
加えて介助犬を提供する多くの団体は介助犬としての役割を引退した「引退犬」の世話も行います。


そういった引退犬の餌代や医療費、保険費も負担となります。 これらを合わせると、介助犬育成の活動費は1団体につき1年で「3000万円」にも及ぶといいます。

Q年間で何頭ほど育成できますか?

この決して安くない介助犬の育成にかかるお金では、1団体で1年間に提供できる介助犬の数は僅かに5頭であるといいます。

地方自治団体からの補助金もありますが、介助犬1頭につき150~200万円が不足している状況です。

こういった状況により、介助犬の提供を希望してからそのパートナーの手元に介助犬がやってくるまで数年を要したケースも存在します。
この現状を打破するために日本介助犬福祉協会では寄付を募り、マンスリーサポート制度を導入しています。

※クラウドファンディングサイトREADY FORにてマンスリーサポートを募集しております。
https://readyfor.jp/projects/kaijoken_msp




Q介助犬の実例を教えていただけますか?

介助犬の実例を紹介します。 電動車いすでの生活をされるそのユーザー様は月の8割をベッドの上で過ごし、 入浴やお手洗いの利用にも困難を抱えられる方です。

介助犬はそういった生活の中で、ユーザー様が物を落とされたら拾う、洗濯物を洗濯機の中に入れる、靴下を脱がせるといったサポートを行います。

また動けない場合などの緊急時には、携帯電話を探して持ってくることもするそうです。

こういったサポートがユーザー様の安心感や自信につながり、行動範囲を広げることができたといいます。

介助犬の存在は周囲にも良い影響を及ぼしたようで、以前より暖かい声をかけられることが増したそうです。

他にも手動式車いすにて生活されるユーザー様の例も紹介します。
その方は車いすの左側が制御することが難しく、真っ直ぐに進むことにも困難を覚える生活が続いていました。

しかし介助犬がサポートしてくれるようになってからは、真っ直ぐに進むことが容易になり、快適に過ごせるようになったといいます。
やはりこの方も介助犬が側にいてくれるようになってから、ユーザー様に対する周囲の人々の対応が優しくなったそうです。

おかげで人の視線を怖がる必要がなくなったといいます。


先述のとおり全国には未だ58頭の介助犬しか存在しません。

1000人の介助犬希望者に介助犬を提供するにはまだまだ程遠い道のりです。

我々にも手を差し伸べられることが数多く存在するのではないでしょうか。