人懐っこく寄ってくる子、警戒心で吠え続ける子、そして静かに目を伏せる子——京都府亀岡市にある保護団体「動物愛護市民団体JCDL」では、毎日そんな命と向き合う時間が流れています。今回は、スタッフの内田さんにお話を聞き、彼らの活動の裏側に迫りました。
1.始まりは「殺処分ゼロ」——雑種犬にも“
JCDL代表の門田さんは雑種犬への偏見をなくしたいという思いでこの活動を始めました。シャンプーして、しつければ雑種犬でも立派な家族になれる。
——それを伝えたかった。小さなきっかけが、大きな命の流れを変える一歩になりました。
2.「1匹、また1匹——新しい家族のもとへ送り出す日々」——日々の活動は全方位的
活動内容は実に多岐にわたります。犬や猫の保護、譲渡会の開催、そして飼い主さんのサポートまで。日々のお世話だけでなく、急なレスキュー依頼にも対応しています。
特に注目すべきは「噛み癖のある子」の受け入れ。他団体では受け入れを断られてしまうような子たちも、JCDLでは「それでも助けたい」と正面から向き合っています。
そのため、問い合わせや引き取り依頼は全国から届き、団体としての活動範囲は、西は九州から東は関東まで広がります。スタッフ個人が遠方までレスキューに向かうこともあれば、保護依頼のために北海道や沖縄など、全国各地から飼い主さんが足を運ぶこともあるそうです。彼らが助けに行くのは、彼らが向き合うのは、“最後の居場所すらなかった子たち”——まさに、最後の砦とも言える存在です。
3.環境整備への本気度がすごい——“過ごしやすさ”にも徹底的にこだわる
夏場は屋外の子たちのために遮光ネットを貼り、工業用スポットクーラーを設置。室内では24時間エアコンを稼働するなど、限られたリソースの中で最大限の環境整備に取り組んでいます。さらに、トリマーが常駐し、爪切りやシャンプーなどプロの技術でケアを続けています。
「環境を整えることも愛護の一部なんです」と、スタッフの内田さんは誇りをもって話してくれました。
こうした取り組みも、支援してくださる方々のおかげで少しずつ実現できています。それでも、まだ理想には届きません。だからこそ、あなたの応援が、犬や猫たちの“もっと快適な毎日”につながるのです。
4.活動のなかで大変なこと、そして報われる瞬間
やはり怪我が絶えないという現実。噛み癖のある子との向き合いは、簡単ではありません。「昨日もスタッフが噛まれました」と淡々と語られる現実に、思わず息を呑みました。
それでも、報われる瞬間は「やっぱり保護した子が里子に、幸せな新しい家族が見つかることですね。」とスタッフの目は輝いていました。
5.忘れられない言葉 ~代表が知事に伝えた本質~
JCDLの活動には、今もなおスタッフの心に刻まれている“原点の言葉”があります。
それは約30年前、代表の門田さんが当時の大阪府知事と面会した際のこと。
その時、知事はこう言ったそうです。
行政の優先順位のなかで、まだ動物の命が軽んじられていた時代。
その言葉に対して、代表はまっすぐこう返したといいます。
この一言は、JCDLという団体を動かしてきた“原動力”となり、今でも多くのスタッフの心に深く残っています。
命の大小にかかわらず、見過ごさずに手を差し伸べる——そんな姿勢が、今の活動の土台になっています。
6.活動の成果:年間100匹以上が新しい家庭へ 数だけじゃない成果——「社会が、ちょっとずつ変わってきた」
「去年だけで100匹以上の犬猫が新しい家族の元へ旅立ちました。単純計算で、3~4日に1匹のペースです。」
かつて、日本では年間60万頭以上の犬猫が殺処分されていた時代がありました。
しかし今では、保健所が受け入れを断ることも増え、苦しみながら命を落とす“ガス処分”ではなく、安楽死が選ばれるようになりつつあります。
また、テレビやCMなどマスコミも、動物愛護を積極的に取り上げるようになってきました。
「もちろん、これは私たちJCDLだけの力ではありません。でも、地道にコツコツ続けてきたからこそ、確実に社会を変える“流れ”の一部にはなれたと思っています。」
殺処分が“当たり前”だった時代に抗い、小さな命を見捨てずに守り続けてきたこと。それが社会の意識を少しずつ動かし始めているのです。
7.アパレルとのコラボが持つ可能性 「Tシャツ1枚で、命を救える未来」——アパレルとのコラボに込めた期待
今回のアパレルコラボに対して、JCDLは明確なビジョンを持っている。
「被災地の野菜を買うように——Tシャツを選ぶことで保護活動に参加できる。そんな選択肢が広がってほしい。」
団体名やメッセージを入れることで、着る人が“伝える人”にもなる。普段動物に関心がない人の目に触れることが、何よりの価値になる。ファッションが共感のきっかけになる、そんな未来を感じました。
次にTシャツを選ぶとき、その1枚が命をつなぐ選択肢になるかもしれません。
8.保護活動を知らない人に知ってほしいこと
「犬も猫も飼うのは大変だよ。 でも、飼わないという選択が、立派な“保護”になることもあるんです。」
そう語るスタッフの言葉には、長年の現場で感じてきたリアルが詰まっています。 犬や猫を飼うということは、決して簡単なことではありません。 しつけ、ごはん、散歩、病気のケア、そして老後の介護。命と向き合うには、それなりの覚悟と責任が必要です。 噛んでしまう子もいれば、大きくなるにつれて性格が変わる子もいる。 血筋や体質、病気の影響など、“しつけだけではどうにもならない”こともたくさんあります。 「育て方が悪かった」と責める前に、その子の背景に目を向けてほしい。
「泣きながら”もう一緒に暮らせない”と託しに来る人もいます。その人たちを、どうか責めないでください。」
子どもを噛んでしまった、家庭でこれ以上対応できない そんな苦しい状況の中で、大切に育ててきた子を手放す決断をする人もいます。 動物を守るということは、時に“人を責めない優しさ”でもあるのかもしれません。 命を守る活動は、動物だけでなく、その背景にいる人の想いにも目を向けることから始まります。
9.支援してほしいこと
「支援は、できるところからでいい」——一般の方・企業へのお願い~
「できることからでいいんです。」そう語るスタッフの言葉には、無理せず継続する支援の大切さが込められています。
JCDLが日々必要としているもの——それは、犬猫たちの“毎日の暮らし”を支える手。ご飯(ドッグフード・キャットフード)、トイレ用品、医療費の一部。どれも欠かすことができません。
人的な支援では、掃除やお散歩などのボランティア、一時的に犬猫を預かるホストファミリーも募集しています。
「里親になるのはハードルが高いけど…」そんな方も、まずは“手伝ってみる”ことから始めてみませんか?
その一歩が、たしかに命をつなぎます。たとえ少しの支援でも、それが誰かにとっての「生きる理由」になるのです。
10.皆さまへのメッセージ
「まずは会いに来てください」——はじめの一歩にできること~
保護犬・保護猫に興味があるけれど、いきなり飼うのは不安。そんな方にこそ、JCDLに来てほしいと思っています。
「可愛いワンちゃん猫ちゃんに、ぜひ会いに来てください。お散歩や遊びだけでも大歓迎です。」
まずは、見て、触れて、感じてみてください。その子の温かさ、命の重み、そして“自分にもできることがある”という実感。
「会いに行く」という一歩が、あなたにとっての始まりであり、その子にとっての希望になるかもしれません。
11.行ってみた感想 訪問を終えて——リアルな命と向き合う現場を見た
今回JCDLの保護施設を訪れ、何より印象的だったのは、犬猫たちが過ごす環境へのこだわりと、怪我をしながらも向き合うスタッフの姿勢でした。「その先に幸せがあるように」と、一匹一匹に向き合う姿に、本気の優しさを感じました。
特に、代表の門田さんが知事に放った「小さな命も守れないで、人間なんか守れませんよ」という言葉には、この活動の原点が詰まっていると感じました。自身の過去の後悔から訓練を学び、今ではしつけ指導をしているというエピソードにも、深い覚悟を感じました。
「飼うのは大変」と現実を伝える姿勢や、「泣きながら“もう一緒に暮らせない”と預けに来る人もいる。そういう人も、責めないでほしい」という言葉には、人と動物の両方に向けるやさしさがありました。
噛んでしまう子、性格が変わる子——しつけだけではどうにもならない現実。それも含めて命を引き受けるということ。その重さを肌で感じた訪問でした。
そして最後に、「着る人が伝える人になるように」。あなたが次に選ぶTシャツが、誰かの命を守る1枚かもしれません—そんな未来、ちょっと素敵だと思いませんか?
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