1988年の設立以来、「理不尽な殺処分」という現実と向き合い続けてきたどうぶつ基金。
「不幸な命を生まないこと」を理念に掲げ、全国の自治体やボランティア、動物病院と連携しながら、累計40万頭を超える猫たちの無料不妊手術を実施してきた。
なぜ「さくらねこ」は生まれたのか。
なぜ耳先カットが必要なのか。
そして、どうぶつ基金が目指す未来とは何なのか。
今回は、長年にわたり日本の動物福祉の最前線を歩み続けてきた、どうぶつ基金の活動についてお話を伺った。

1. 「不幸な命を生まない」ことが、殺処分ゼロへの唯一の道だった
1988年の設立当初から、どうぶつ基金は「理不尽な殺処分」という現実と向き合ってきた。
当時は「かわいそうだから保護する」という考え方が主流だったという。しかし、それだけでは根本的な解決にはならなかった。
「蛇口を閉めずに、溢れた水を汲み出しているようなものだった」
保護を続けても、新たな命が生まれ続ける限り、殺処分は減らない。
だからこそ、「不幸な命を生まないこと」が必要だった。
その強い信念のもとで生まれたのが、「さくらねこ無料不妊手術事業」である。
2. 全国40万頭超の命を支える、どうぶつ基金の活動
現在、どうぶつ基金は複数の事業を展開している。
中心となるのは、全国の自治体、ボランティア、協力病院と連携して行う「さくらねこ無料不妊手術事業」だ。これまでに累計40万頭を超える猫たちの無料手術を実施している。
また、多頭飼育崩壊への支援にも力を入れており、無料不妊手術チケットの発行に加え、大規模なケースでは獣医師チームを現地へ派遣することもある。
さらに、保護犬猫の譲渡活動を支援する「里親さがし助成金」制度や、「買わずに飼ってね」をコンセプトにした写真コンテスト、短歌コンテストなども開催している。
命を守るだけでなく、社会全体の意識を変えていくことも、どうぶつ基金の大切な役割となっている。
©️公益財団法人どうぶつ基金3. 「さくらねこ」に込められた願い
耳先をカットした不妊手術済みの猫たちは、「さくらねこ」と呼ばれている。
この名前が生まれた理由は、「不妊手術済みの猫」という事務的な呼び方では、愛着が湧きにくいと考えたからだった。
耳先のカットを桜の花びらに見立て、「さくらねこ」と命名。
そこには、
「この猫は一代限りの命を懸命に生きている。どうか地域の宝として、桜のように愛され、見守られてほしい」
という願いが込められている。
4. 耳先カットは、「守られている証」
耳先カットに対して、「かわいそう」という声が寄せられることもある。
しかし、どうぶつ基金は、その意味を丁寧に伝え続けてきた。
耳先カットは、手術済みであることを示す印であり、再び捕獲されて同じ手術を受けることを防ぐためのものでもある。
つまり、それは単なる目印ではない。
「二度と怖い思いをさせないための、唯一無二の“守られている証”」
見た目の問題ではなく、猫たちを守るための優しさの証として、その必要性を伝え続けている。
©️公益財団法人どうぶつ基金
5. 現場主義とスピード感を大切に
全国の自治体やボランティア、動物病院と連携する中で、どうぶつ基金が大切にしているのは「現場主義」と「スピード感」だ。
TNR活動に取り組む現場では、常に人手不足や資金不足との戦いが続いている。
その負担を少しでも軽減するために、何ができるのかを常に考えながら支援を行っているという。
印象に残っている出来事として挙げられたのは、ある自治体との連携によって、わずか数年で殺処分数が大きく減少した事例だった。
寄付者の想いを仕組みに変え、現場へ届ける。
それが、どうぶつ基金の果たすべき役割だと考えている。
6. 大規模現場で問われる使命感
多頭飼育崩壊や離島での一斉TNRなど、大規模な現場では厳しい状況に直面することも少なくない。
現場によっては、凄惨な状況が広がっていることもある。
それでも、立ち止まることはできない。
「今ここにいる命を救うには、今動くしかない」
その使命感が活動を支えている。
そして、どんな現場であっても、動物に寄り添う視点を忘れないこと。
それがスタッフ全員に共通する想いだという。

©️公益財団法人どうぶつ基金
7. 「幸せな姿」を伝える意味
動物愛護の世界には、厳しい現実が数多く存在する。
しかし、どうぶつ基金が伝えたいのは悲しい話だけではない。
地域で見守られながら暮らすさくらねこ。
保護され、新しい家族と出会った犬や猫たち。
そんな幸せな日常の姿を発信することで、「命を買う」以外にも選択肢があることを知ってもらいたいと考えている。
動物愛護に関心のなかった人にこそ、身近な入口として届けたいという想いがある。
8. ファッションから広がる、新しい優しさの輪
今回のアパレルコラボレーションについて、どうぶつ基金は率直に「大変嬉しかった」と語る。
ファッションは、日常の中で自然に会話を生み出す力を持っている。
商品を手に取った人が「さくらねこ」を知り、「どうぶつ基金」を知る。
そこから新しい理解や共感が生まれ、優しさの輪が広がっていく。
そんなきっかけになることを期待している。
©️公益財団法人どうぶつ基金
9. どうぶつ基金が目指す未来
どうぶつ基金は、「いきものが自由でしあわせ」という理念を掲げている。
猫や犬だけではない。
牛や鶏などの産業動物、そして野生動物も含め、私たちはこれからどのように共生していくべきなのか。
その問いと向き合いながら活動を続けている。
そして、その先にあるのは、
理不尽な殺処分がなくなること。
産業動物の環境が改善されること。
野生動物との共生が実現すること。
その未来のために歩み続けている。
いつの日か、「どうぶつ基金」が必要なくなること。
それこそが、どうぶつ基金の目指すゴールである。
10. あなたの行動が、命を守る力になる
「自分一人で何ができるだろう」
そう感じる人もいるかもしれない。
しかし、現状を知ること。
誰かに伝えること。
そして、今回のようなコラボアイテムを手に取ること。
その一つひとつが、小さな命を守ることにつながっている。
世界を変えるような大きな行動でなくてもいい。
その小さな一歩こそが、社会を変える原動力になる。
ぜひ、あなたにできる方法で、私たちと一緒に歩んでください