うさぎにも、人にも、次の幸せを。 保護うさぎを新しい家族へつなぐ、うさぎとひとの幸せを支える会

うさぎにも、人にも、次の幸せを。 保護うさぎを新しい家族へつなぐ、うさぎとひとの幸せを支える会

保護犬や保護猫という言葉は、少しずつ社会に広がってきました。

けれど、「保護うさぎ」という存在を知っている人は、まだ多くありません。

犬や猫とは違い、うさぎは保健所が受け皿になりにくく、飼い続けることが難しくなった時、行き場を失ってしまうことがあります。

そんなうさぎたちと、やむを得ず手放さなければならない人たちの間に立ち、新しい家族へつなぐ活動を行っているのが、「一般社団法人 うさぎとひとの幸せを支える会」です。

大切にしているのは、うさぎだけの幸せではありません。
名前の通り、「うさぎ」と「ひと」の幸せをどちらも支えること。

今回は、新井さんに、活動を始めたきっかけ、ふじみ野うさぎハウスと行田うさぎハウスの役割、学校飼育の現状、そして保護活動を持続可能にするための考え方について伺いました。

1:自宅の一室から始まった、うさぎの保護活動
「できるところからやっていけばいい」と気づいた日

ー「一般社団法人 うさぎとひとの幸せを支える会」として、うさぎの保護活動を始めるに至ったきっかけを教えてください。

新井さん:うさぎの保護活動を始めたのは、4年ほど前です。

もともと動物の保護活動をしていたわけではありませんでした。ただ、当時、自宅でうさぎを10匹飼っていたんです。

その中で、「社会貢献をしていきたい」と考えるようになりました。

ちょうどその頃、うさぎの保護活動をされている先輩のような方とお会いする機会があり、いろいろなお話を聞かせていただきました。

そこで、「最初から完璧にやらなくても、できるところから始めていけばいいんだ」と気づいたんです。

それで、自宅の一室を使って保護活動を始めました。

ー最初は、どのような活動から始められたのでしょうか?

新井さん:最初に受け入れたのは、さいたま市の保健所に収容されていたうさぎたちです。

多頭飼育崩壊で保護されたうさぎが、当時10匹ほどいて、まだ行き先が決まっていないと聞きました。

その子たちを受け取ったのが、最初の保護活動です。


2:ふじみ野は発信拠点、行田は大きく受け入れる場所
2つのうさぎハウスが担う役割

ー現在は、どのような活動を中心に行われていますか?

新井さん:現在の活動は、大きく分けて2つあります。

1つは、一般の飼い主さんから、飼いきれなくなってしまったうさぎを有償で引き取り、里親さんにつなぐ活動です。

もう1つは、多頭飼育崩壊や学校施設などから、無償でうさぎを引き取り、里親さんにつなぐ活動です。

この2つが、主な活動内容になっています。

ー「ふじみ野うさぎハウス」と「行田うさぎハウス」では、それぞれどのような役割がありますか?

新井さん:大きく役割が分かれているわけではありませんが、ふじみ野うさぎハウスは、都内からも来やすく、アクセスの良い立地にあります。

そのため、活動を広めていく中心の場所になっています。

一方で、行田うさぎハウスはスペースが広いので、ふじみ野で受け入れきれない数のうさぎを一度に受け入れることができます。

シェルターに近いイメージの施設です。

ー里親希望の方には、うさぎのどのような姿を見てほしいですか?

新井さん:うさぎには、犬や猫とは違った仕草や魅力があります。

普段から犬や猫と触れ合っている方でも、うさぎにはまた別の魅力があるんです。

実際に近くで触れ合ったり、一時的に預かったりして、うさぎという動物を体験してほしいと思っています。

3:食事量と排泄量に、異変のサインが出る

多くのうさぎを守るための日々のケア


ーうさぎを保護し、健康な状態で新しい家族へつなぐために、日々のケアや健康管理で大切にしていることは何ですか?

新井さん:施設では、常に50匹から100匹ほどのうさぎを飼育しています。

それだけの数がいるので、一匹一匹に対して、非常に細かい健康管理を行うことは難しいというのが実際のところです。

ただ、うさぎに慣れたスタッフがいます。

これまで100匹、200匹と、さまざまなうさぎを見てきた経験豊富なスタッフが、健康状態の変化を見ています。

特に大切なのは、食事量と排泄量です。

どれくらい食べているか、きちんと排泄できているかを確認し、異変に早く気づくこと。そして、異変に気づいた時には適切な治療につなげることが重要だと考えています。

ー「うさぎは寂しいと死んでしまう」と言われることもありますが、実際はどうなのでしょうか?

新井さん:これは必ず聞かれる質問ですが、嘘です。

ドラマのセリフから広がった俗説のようです。

うさぎは、どちらかというと穴の中で一匹で暮らす動物です。群れを作るというより、個別の縄張りを持って生活します。

寂しいと死んでしまうというより、過密になると攻撃し合ったりすることがあります。

狭いスペースに多くのうさぎがいる状態は、うさぎにとって良くありません。

50匹、100匹を飼育するうえで、特に大変なことはありますか?

新井さん:うさぎは、1匹につき1ケージで個別に管理することが基本です。

猫であれば、相性や状態にもよりますが、同じスペースで過ごせる場合があります。

でも、うさぎの場合は個別管理が基本です。

50匹、100匹をお世話するには、50個、100個のケージが必要になります。そのケージを置くためのラックやスペースも必要です。

また、うさぎという動物への理解は、世間ではまだまだ低いと感じています。

「犬や猫なら分かるけど、うさぎはどうなの?」という声が周囲から上がることもあります。

そういった理解の少なさも、活動を続けるうえで難しい部分です。


4:学校飼育は、なくすだけが答えではない

命を学ぶ場として続けるために必要なこと

ー学校でのうさぎ飼育の現状を、どのように捉えていますか?

新井さん:学校飼育については、全体として廃止していこうという流れが高まっていると感じています。

私たちも「学校うさぎプロジェクト」として、学校からであれば無償で引き取ることを公言しています。月に1件、2件ほど問い合わせをいただいている状態です。

学校の中には、うさぎ小屋があって、うさぎが常にいることが当たり前になっているところも多いです。

しかし、屋外飼育で、雨風を十分にしのげない環境だったり、オスとメスが一緒になって学校内で繁殖してしまったりするケースもあります。

そうなると過密状態になり、学校うさぎの寿命が12年ほどと短くなってしまうこともあります。

動物福祉の観点では、学校飼育には課題が多いと感じています。

ーでは、学校での飼育はなくした方がよいのでしょうか?

新井さん:私は、学校飼育自体はあった方がいいと思っています。

動物を飼育し、責任を持って管理することを学ぶのは、とても重要なことです。

すべての家庭で犬や猫、うさぎを飼えるわけではありません。多くの子どもたちが動物と関わる経験を持つためにも、学校飼育には意味があると思います。

ただし、適切に管理することが前提です。

夏や冬の厳しい時期だけ、生徒さんの家に避難させてもらったり、私たちの方で預からせてもらったりするなど、うさぎの健康を大きく損なわない形で飼育できるのであれば、学校での飼育は続けていくべきだと考えています。

ー学校飼育を続けるために、必要だと感じている仕組みはありますか?

新井さん:一番困るのは、「増えすぎたので引き取ってほしい」という相談です。

すべて引き取ってほしいということであれば対応のしようがありますが、「10匹ぐらいは残して、増えた分だけ引き取ってほしい」と言われると、また1年後には同じ数まで増えてしまう可能性が高いんです。

うさぎは繁殖力が強く、雌雄の判別も難しい動物です。

だから、学校の中で繁殖してしまう状態はなくしていきたいと考えています。

まだ実現はしていませんが、学校同士が情報交換できるネットワークのようなものが必要だと思っています。

例えば、ある学校ではオスだけを飼育し、別の学校ではメスだけを飼育する。増えすぎてしまった学校と、飼育したい学校をつなぐ。

そういった仕組みを作ることができれば、繁殖を防ぎながら、学校飼育を続けることができるのではないかと考えています。

それができるのは、私たちのような保護活動をしている団体なのかもしれません。

5:うさぎだけではなく、人の幸せも支える

飼い始める一歩を、重くしすぎないために

ー活動を続ける中で感じている、団体ならではの強みや大切にしている姿勢を教えてください。

新井さん:法人名にもあるように、私たちは「うさぎのためだけ」ではなく、「人の幸せも作っていこう」ということを大切にしています。

うさぎと人の幸せとは何かと考えると、うさぎとの適切な関係を通じて、生活の中に喜びや楽しさを感じてもらうことだと思っています。

だからこそ、うさぎを飼育するという選択肢を、ぜひ検討してほしいです。

ー保護団体によっては、譲渡条件が厳しい場合もあります。

新井さん:犬や猫の保護団体では、里親になるために厳しい審査があったり、年収証明が必要だったり、独身の方や子どもがいる家庭、60歳以上の方を断るケースもあります。

動物を第一に考える「アニマルファースト」の姿勢から生まれているものだと思います。

ただ、そこまで高い覚悟や条件を求めてしまうと、誰も飼えなくなってしまうとも感じています。

私たちは、動物を飼う最初の一歩を踏み出してほしいと思っています。

その一歩を踏み出した後に、しっかりフォローしていくことで、うさぎと人、両方の幸せを支えていく。

それが、私たちの大切にしている姿勢です。

ー譲渡条件は、どのようにされていますか?

新井さん:基本的には、ペットショップでうさぎを迎えられる方であれば、里親さんになっていただいてよいと考えています。

単身の方でも、シニアの方でも、60代、70代の方でも、問題がないと判断すれば譲渡しています。

譲渡にあたって、ペットショップのように3万円、5万円といった費用をいただくことはしていません。

無償で里親さんになっていただけるようにしています。

希望される方には、ケージや水のボトル、フードを入れる容器など、飼育用品一式も無償でお渡ししています。

中古品をたくさんいただいているので、中古品でよければ、初期費用を抑えて飼い始められるようにしています。

唯一の条件として、1か月以上のペット保険への加入をお願いしています。

理由は2つあります。

1つは、当社がペット保険の代理店でもあり、加入いただくことで代理店手数料をいただき、それを活動費に充てていること。

もう1つは、環境が変わってすぐの時期は、うさぎが体調を崩しやすいからです。

迎えてすぐに病気が見つかったり、扱いに慣れていないことで怪我をさせてしまったりすることがあります。

その時に、保険で治療費を賄い、きちんと治療につなげてもらえるようにするため、ペット保険への加入をお願いしています。

ー活動を継続するうえで、雇用面でも工夫されているのでしょうか?

新井さん:はい。

保護団体では、「ボランティアではなく仕事にしたい」「時給を払ってあげたい」という声もよく聞きます。

私たちは、メインのメンバーについては、社員やパート、アルバイトという形で雇用関係を結び、最低時給以上の給与を支払っています。

餌やりや掃除は毎日欠かせないものです。

毎日必要なことをボランティアさんに一任するわけにはいきません。

そのため、人件費として予算に組み込み、どんな状況でも日々の世話をカバーできるようにしています。


6:手放す人は、本当に無責任なのか

活動を通して変わった、飼い主への見方

ーこれまでの活動の中で、特に印象的だった出来事や、大きな学びになったことはありますか?

新井さん:活動を始める前は、うさぎが飼えなくなったという方に対して、「無責任なのではないか」と思っていました。

飼い続けられないなら、最初から飼うべきではないと思っていたんです。

でも、実際に活動を始めてみると、思っていたような無責任な飼い主さんは、基本的にいませんでした。

「思ったのと違った」「かわいくなくなった」「子うさぎの時はかわいかったけれど、大きくなったから手放したい」というような方は、ほとんどいなかったんです。

多くの方は、本当はこのまま一緒に暮らし続けたいと思っています。

それでも、アレルギーが出て日常生活に大きな支障が出てしまったり、自分ではなく子どもや高齢の家族に負担が出てしまったり、重い病気で入院し、もう家に帰れないかもしれない状況になったりする。

そうした、やむにやまれぬ事情で連れてこられる方がほとんどでした。

だからこそ、新しい里親さんにつなぐ活動は絶対に必要だと感じています。

飼い続けられなくなった人をただ責めるのではなく、信頼できる場所として受け入れ、次の家族へつなぐ。

こうした活動が、うさぎだけでなく、さまざまな動物に広がってほしいと思っています。

7:保護うさぎは、まだ知られていない

犬猫以外にも必要な、民間の受け皿

ー保護うさぎに関わったことのない方や、活動を知らない方に、まず知ってほしいことは何ですか?

新井さん:保護猫や保護犬の存在は、多くの方が知っています。

テレビでも取り上げられていますし、ペットを迎えるなら保護犬や保護猫を検討しようという方も増えてきました。

それは、とても良い兆候だと思っています。

一方で、「保護うさぎっているんだ」と言われることは多いです。

犬や猫は知っていても、うさぎやその他のペットにも保護動物がいるということは、まだ十分に知られていません。

まずは、犬猫以外にも保護活動をしている団体があり、保護動物がいるということを知ってほしいです。

ー犬猫以外の保護では、どのような課題がありますか?

新井さん:犬や猫には、最終的な受け皿として保健所があります。

良いか悪いかは別として、本当に飼いきれなくなった場合、保健所が最後にカバーしてくれる仕組みがあります。

しかし、保健所は基本的に犬猫のための施設です。

犬猫以外の動物については、予算や設備の問題から受け入れてもらえないことが多いです。

「うさぎを飼えなくなったので受け入れてもらえませんか」と相談しても、基本的には断られてしまいます。

それでも、捨てたり、殺したり、虐待したりしてはいけない。

だからこそ、犬猫以外の動物に関しては、民間の団体が受け皿になっていく必要があります。

これは犬猫以上に必要なことだと感じています。

ー保護うさぎの存在を知ってもらうために、どのようなことをされていますか?

新井さん:ウェブや広告だけでは、なかなか認知は広がりません。

一番のPRは、実物を見てもらうことだと思っています。

私たちは、他の多くの団体に比べて、譲渡会をかなり多く行っています。毎週末、さまざまな場所で譲渡会を開催しています。

また、保護活動のシェルターは、基本的に訪問できなかったり、予約制だったりすることも多いですが、私たちはペットショップと同じように、営業時間内であれば予約なしで来ていただける形にしています。

触れ合いだけでも来てください、というスタンスです。

多くの方に「保護うさぎっているんだ」と知ってもらうために、露出を増やすことを強く意識しています。

今後は、広報担当を立て、SNSPR活動も強化していきたいと考えています。


8:アパレルを通して、保護うさぎを知らない人へ

売上は広報活動へ

ー今回のアパレルコラボレーションを通じて、どのような広がりを期待していますか?

新井さん:今回のアパレルとのコラボレーションも、保護うさぎを知っていただくための活動の一環だと思っています。

保護犬や保護猫であれば、「そういう団体なんだ」と受け止められると思います。

でも、私たちの場合は、「保護うさぎっているんだ」というPRになります。

もともと保護活動に関心がある方や、動物が好きな方だけでなく、動物や保護活動にあまり興味がなかった方にも届いてほしいです。

ー今回の売上による寄付は、どのように活用される予定ですか?

新井さん:広報活動に使っていきたいと考えています。

現在、道路沿いなどに設置される大きな看板を掲示しようと、いろいろな会社さんと話を進めています。

国道沿いなどに、「保護うさぎをお迎えしよう」という看板を出す予定です。

今回の寄付は、その費用の一部に充てさせていただきたいと思っています。

9「最後」を支える、うさぎと人のセーフティーネット

人とうさぎが共に幸せになるために必要なこと

ーうさぎと人が共に幸せになる社会のために、必要なことは何だと思いますか?

新井さん:動物を飼うということは、最初から最後まで責任を持つことが基本だと思います。

ただ、その「最後」をカバーする部分が、今の社会ではすごく弱いと感じています。

最後というのは、天寿を全うして大往生することだけではありません。

どうしても飼い続けられなくなり、お別れしなければならない時も、その関係の最後だと思うんです。

その時に、正しい新しい飼い主さんへつなげていく活動は、とても重要です。

ただ飼えなくなった方を責めるのではなく、その方の事情を汲んだうえで、動物も人も不幸にならないようにつないでいく。

それを社会全体でやっていく必要があると考えています。

ーセーフティーネットの存在が、飼い始める人にも関わってくるのでしょうか?

新井さん:万が一の時にはどうにかなる、最終的なセーフティーネットがある。

それがあるかないかで、動物を迎える時の覚悟は大きく変わると思います。

動物は、飼ってみればかわいいですし、最後まで面倒を見てあげたいと思うものです。

その最初の一歩を踏み出せなくしてしまうような、高すぎるハードルを課すことは良くないと思っています。

お金持ちだけの趣味になってしまったり、本当に好きな人しか入れない狭い世界になってしまったりするのは良くありません。

多くの方が気軽に迎えられること。

そして、万が一、覚悟が足りなかった方や、生活にトラブルが起きてしまった方に対しても、セーフティーネットを用意すること。

それが、社会に必要なことだと思います。

私たちも、その受け皿になれるように活動を広げていきたいです。


10:保護活動は、ひとつの形だけではない

持続可能な活動を応援してほしい

ー最後に、インタビューをご覧いただく皆さまへ、団体として伝えたいメッセージをお願いします。

新井さん:保護活動は、すごく良いことという印象があると思います。

テレビなどでも、動物の保護活動が取り上げられることは多くあります。

でも実は、保護団体同士の連携は、まだほとんどできていないと感じています。

背景には、「保護活動はボランティアであり、お金を稼いではいけない」という風潮があると思っています。

各団体が、代表者やボランティアの方の寄付や支援金で活動を回している場合、自分たちの理想を実現したいという思いが強くなります。

その結果、少し方針が違う団体に対して協力できなくなることもあります。

私たちは、自分たちの収入をきちんと確保し、ビジネスではないけれど、持続可能な活動として経営していく必要があると考えています。

だからこそ、多少の違いは受け入れるべきだと思っています。

保護団体はこうあるべきだ、という先入観を一度捨ててほしいです。

私たちの活動は、保護活動として100点ではないかもしれません。

でも、ないよりあった方がいい活動であり、少しでも動物のため、人のため、社会のためになっていると感じています。

私たちの方針は、誰かの理想とは違うかもしれません。

それでも、人と動物のためになることをやっているという自信があります。

方針が違っていても、ぜひ応援してほしい。
一緒に前に進んでほしい。

保護活動に関心がある方にも、まだ関心がない方にも、いろいろな形の保護活動があることを知っていただきたいです。

 

ブログに戻る