一歩も歩けなかった犬が、散歩を楽しめるまで。ちばわんが20年以上つないできた、命と家族

一歩も歩けなかった犬が、散歩を楽しめるまで。ちばわんが20年以上つないできた、命と家族

保護された犬や猫を、単に「引き取る」のではなく、一緒に暮らす家族として迎え、最後まで大切にする。

その思いから、「里親」ではなく「いぬ親さん」「ねこ親さん」、「譲渡会」ではなく「いぬ親会」「ねこ親会」という言葉を使っているのが、動物愛護団体「ちばわん」です。

2002年に始まった活動は、20年以上にわたって続いてきました。その原点にある多頭飼育現場の光景、犬猫と家族をつなぐために大切にしていること、そして今、多くの人に知ってほしい現実について伺いました。

ごみの山の中にいた、多くの犬たち

活動の原点となったのは、2002年に関わった多頭飼育現場でした。

ごみの山の中には多くの犬がいて、その多くが皮膚病を患っていました。飼い主一人では世話が追いつかず、水も与えられていない犬がいました。

一週間後に再び訪れると、亡くなったのか、すでに姿が見えなくなっている犬もいたといいます。

自分に何ができるのか。関わることで、どれほど大変な状況になるのか。当時は何も分からないままでした。

それでも、「犬たちのことを思えば、どんな状況でも我慢できました」と振り返ります。

活動を始めたのは、4人ほどのメンバーでした。啓蒙・啓発活動を中心に行う愛護団体の手伝いを通して知り合い、最初は犬たちの写真を撮ったり、ご飯を届けたりすることから始めました。

当時、最も大変だったのは、飼い主とのやり取りでした。

1〜2年で終わるはずだった「千葉犬緊急救護プロジェクト」

当初は、多頭飼育現場の問題を1〜2年で解決するつもりで、「千葉犬緊急救護プロジェクト」という名前で活動を始めました。

その「千葉犬」を「ちばわん」と読んだ人がいたことから、当時は忙しさのあまり深く考えず、「いいね!」と、そのまま現在の団体名になったといいます。

犬の救護をきっかけに始まった活動ですが、もともと猫の保護や里親探しにも取り組んでいたため、自然な流れで猫の活動も始まりました。

ちばわんの最大の強みは、異なる得意分野や専門知識を持つ、多種多様なボランティアがいることです。それぞれができる範囲で力を貸し、困ったことがあれば必ず声をかけてくれる。その存在を、いつも心強く感じているといいます。

「引き取る」のではなく、家族として迎える

ちばわんでは、犬猫を迎える人を「里親」ではなく、「いぬ親さん」「ねこ親さん」と呼んでいます。

そこには、保護された犬や猫を単に引き取るのではなく、一緒に暮らす家族として迎えてほしいという思いがあります。

「親」という言葉に込められているのは、その子の命を預かり、家族として最後まで大切にしてほしいという願いです。

「いぬ親会」「ねこ親会」という名称にも同じ思いがあり、犬や猫と、これから家族になる人との出会いの場であることを大切にしています。

一歩も歩けなかった犬が、散歩を楽しめるまで

これまでに関わった犬猫の中で、特に心に残っているのが、多頭飼育現場から保護された一頭の犬です。

その犬は、保護されるまでの約6年間、ほとんど外に出たことがありませんでした。保護された直後は、散歩どころか、歩くこともできなかったといいます。

しかし、預かり家庭でさまざまな経験を重ねるうちに、少しずつ外の世界に慣れていきました。そして、いつの間にか散歩が大好きな犬になりました。

最初は怖くて一歩も歩けなかった犬が、最後には楽しそうに散歩する。その姿を通して、安心できる環境の中で時間をかけて接することで、犬や猫は少しずつ変わっていくのだと、改めて感じたといいます。

厳しい現実を伝え続ける理由

ちばわんは、動物愛護センターの現状を伝える「センターレポート」を長年発信しています。

ペットショップでは、今も何十万円という価格で犬や猫が迎えられています。その一方で、家族として迎えたはずの犬や猫が、さまざまな理由から簡単に手放されてしまう現実があります。

センターレポートを発信し続けるのは、その現実をまだ知らない人に、知ってもらうきっかけをつくるためです。

そして、読んだ人にまず大切にしてほしいのは、今、目の前にいる自分のペットです。

元気でかわいいときや、一緒に楽しく過ごせるときだけではありません。年を重ねたときも、病気になったときも、最期のときまで。家族として迎えた責任を持ち、最後まで面倒を見てほしいと伝えています。

「命の椅子取りゲーム」のようだった現実

活動を始めた当時、千葉県は、犬や猫の殺処分数が全国でも多い地域の一つでした。

本来なら譲渡につながるはずの子犬や子猫まで処分の対象となり、限られた保護先や譲渡先をめぐる、まるで「命の椅子取りゲーム」のような状況がありました。

その現実を目の当たりにし、安易な繁殖や不必要な繁殖を減らす必要があると強く感じたといいます。それが、不妊・去勢手術が動物愛護の第一歩であることを伝え続けるきっかけになりました。

家族に迎える前に、その背景を知る

保護犬や保護猫を家族として迎えたいと考える人が増えていることを、ちばわんはうれしく感じています。

一方で、「保護犬ビジネス」と呼ばれるものが存在することも知っておいてほしいといいます。

どのような環境で保護され、どのような経緯で現在に至った犬猫なのか。そして、その団体がどのような活動をしているのか。

保護犬や保護猫を迎えることが広がっている今だからこそ、ただ「保護」という言葉だけで判断せず、正しい情報を知ったうえで、本当にその子の幸せにつながる形で家族に迎えてほしいと考えています。

商品を手に取ることが、犬猫と家族をつなぐ力になる

今回のEAGER BEAVERとのコラボレーションによる寄付金は、保護した犬猫の治療費・手術費・ワクチン代などの医療費、フードやペットシーツなどの飼育費、新しい家族へつなぐための保護・譲渡活動費として活用される予定です。

一頭でも多くの犬や猫が安心して過ごし、幸せな家族と出会えるよう、大切に使われます。

最後に、今回のコラボレーションを通して、初めてちばわんや保護犬・保護猫を知った方へ、メッセージをいただきました。

「動物愛護や、それに関わるボランティアを、特別なことだと思わないでほしいです。まずは、今、目の前にいる生き物を大切にすること。それを特別な活動としてではなく、日々の生活の一部として、自然に取り入れてもらえたら嬉しいです。今回のコラボレーションをきっかけに、少しでも多くの方が犬や猫、そしてすべての生き物に目を向けるようになってくれたらと思います」

 

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