保護猫活動と聞くと、子猫を保護し、新しい家族へつなぐ姿を思い浮かべる人は多いかもしれません。
しかし、OneforMee@丹波が向き合っているのは、シニア猫や疾病のある猫、長く外で生きてきた猫たちです。
現在保護している猫は36匹。
見守っている外の猫は13匹。
朝から深夜まで続くお世話。
投薬、通院、掃除、ごはん、外猫の見守り。
その多くを、足立さんは日々担い続けています。
「子猫は保護されやすい。でも、大人の猫はほったらかしにされることが多いんです」
そう語る足立さんに、活動の始まり、丹波市での助成制度実現までの道のり、忘れられない猫との出会い、そして今回のアパレルコラボに込める思いを伺いました。

1:シニア猫・疾病猫と向き合う日々
―現在、どのような活動を中心に行われていますか?
足立さん:今はシニアの猫や疾病のある猫がほとんどなので、メインは今いる子たちのケアです。
必要に応じてTNRや地域猫活動もしていますし、これまで関わってきた外の猫たちの地域猫活動も継続しています。
今、保護猫が36匹、お外の子が13匹います。
―1日の活動スケジュールは、どのような感じなのでしょうか?
足立さん:朝7時ぐらいから、まず保護している子たちのお世話と掃除が始まります。
今は5つの部屋に分かれているので、順番に掃除をして、ごはんをあげて、水を替えて、薬やケアが必要な子には処置をします。
その後、10時過ぎから、2019年から関わっている崩壊現場の子たちのお世話に行きます。
戻ってきてから外猫たちのごはんをあげると、もう12時前になります。
そこから仕事です。
夜は仕事が18時までなので、病院がある日はそこから病院へ連れて行きます。
病院がある日は帰ってくるのが21時ぐらいになることもあって、そこからまた順番に猫たちのお世話をします。
終わるのは、だいたい深夜1時、2時ぐらいです。
―本当に一日中ですね。
足立さん:そうですね。
起きてから寝る寸前まで、猫たちに振り回されている感じです。
崩壊現場の外の猫ちゃんについては、今はお手伝いしてくださる方が3人できて、月の3分の1から半分ぐらいは代わっていただけるようになりました。
そこはだいぶ助かっています。
2:殺処分の現実を知った日
―2013年から活動を始められたとのことですが、保護活動へ踏み出したきっかけを教えてください。
足立さん:Facebookを見ていた時に、たまたま殺処分についてのポスターが流れてきたんです。
そこには、安楽死について書かれていました。
おしっこを垂れ流して、嘔吐して、苦しみながら死んでいく。
死にきれなかった子は、生きたまま焼かれる。
そういう内容で、すごく衝撃を受けました。
当時は犬を1匹飼っていたんですが、それから殺処分のことやペットショップのこと、犬や猫を取り巻く問題について調べるようになりました。
何か自分にできることはないかと考えた時、まず里親になることが一番簡単にできることなのかなと思ったんです。
最初は犬の里親になろうとしました。
県内にあった保護施設から、なかなか譲渡が決まらない子や病気がちな子を迎えたいとお願いしました。
でも、その子は来る前日に亡くなってしまったんです。
それがすごくショックで、とにかく決まらなさそうな子を連れてきてくださいとお願いしました。
そして1匹を里親として迎えたのが、活動の始まりです。
―始めた当初、大変だったことはありましたか?
足立さん:私はもともと犬しか飼ったことがなくて、最初は犬の保護活動を考えていました。
繁殖犬がひどい目にあっていることを知って、そういう子たちをレスキューして里親さんにつなげる活動をしたいと思っていたんです。
でも、市内で探しても、そういう活動をしている方がいませんでした。
唯一、猫の活動をされている方がいて、その方とつながったことがきっかけで、猫の預かりも始めました。
ただ、猫の知識は本当にゼロでした。
先輩方にたくさん教えていただいたり、ご指導いただいたりしながら、見よう見まねでやってきました。
知識の面では、本当に大変でした。
3:唯一の存在と出会うために
―「OneforMee@丹波」や「海豆」という名前には、どのような思いが込められているのでしょうか?
足立さん:たくさんの犬や猫がいる中で、自分に巡り会える子って本当に限られています。
その1匹1匹が、飼い主さんにとって唯一の、かけがえのない存在じゃないですか。
「One For Mee」には、私にとって唯一というような意味を込めています。
飼い主さんと保護っ子たちが、そういう関係になってほしいという思いで名付けました。
あとは、「ワン」と「ミー」で鳴き声のようにも聞こえるので、覚えてもらいやすいかなと思いました。
「海豆」は、今の活動に直接関係しているわけではないんですが、飼っていたワンちゃんの名前がカイくんとマメちゃんだったので、アカウント名に入れています。
4:「猫なんか」と言われた地域で
―丹波市で、飼い主のいない猫の不妊手術費用助成制度の実現に尽力されたと伺っています。請願書や署名活動を行う中で、特に大変だったことを教えてください。
足立さん:当時、阪神間のように人口が多くて財政に余裕のある市には助成制度がありました。
でも、丹波のような田舎で、過疎地で、財源もない地域では、そういう助成がある市はありませんでした。
それに、地域の人たちの中には「猫なんか」という感覚もありました。
当時は、夕方の放送で「いらない猫がいたら引き取ります」というようなお知らせが流れていたんです。
愛護センターが迎えに来て、その先には殺処分がある。
そういうことが普通に行われていました。
議会などに話に行っても、「猫のことなんて」という空気がありました。
参考人として呼ばれた時にも、ある議員の方から「昔は犬なんて全部捕まえて殺しよったんやで」と言われたことがありました。
それが、猫もそうすればいいと言われているように聞こえて、すごく悔しかったです。
―署名活動でも苦労があったのでしょうか?
足立さん:なかなか協力が得られませんでした。
他にも活動している人はいたのですが、「どうせ動いても何も変わらへん」という感じで、署名活動にもあまり協力してもらえませんでした。
その中で、当時One for Meeを手伝ってくれていたスタッフさんたちが、一生懸命署名を集めてくださいました。
市内のボランティア同士でも温度差がありました。
もっとみんなで協力できれば、署名ももっと集まるし、市にも理解してもらいやすかったと思います。
制度自体は議会で通ってできました。
でも、今も使いにくい制度だと感じています。
個人では使えず、2人以上のグループや団体である必要があります。
さらに、手術後にリリースする地域の代表の方の許可やハンコも必要です。
助成は不妊手術・去勢手術の半額ですが、ノミダニ駆除やワクチン、エイズ・白血病の検査などには出ません。
せっかく頑張って制度ができたのに、申請までのハードルが高くて、なかなか活用されていない。
そこは悲しいなと思います。

5:朝から深夜まで続く命のケア
―複数の拠点に分かれた猫たちを、ほぼお一人で毎日お世話されていると伺いました。体力面や精神面で、特に大変だと感じることはありますか?
足立さん:活動を始めて15年ぐらいになりますが、自分の体力がどんどん低下しているのを、特にここ2、3年はすごく感じています。
時間がかかることがしんどかったり、睡眠時間が少ないことが応えたりします。
元気な子はすぐにお世話が終わるんですが、投薬が必要な子、点滴が必要な子、いろいろな処置が必要な子が重なる時期があります。
そういう時は、やっぱり大変です。
6:今も心に残る、ミントのこと
―これまで多くの猫を保護されてきた中で、特に忘れられない出会いや、今も心に残っている猫とのエピソードはありますか?
足立さん:どの子もワンフォーミーなので、忘れられない子ばかりです。
でも、やっぱり亡くなってしまった子は、後悔が残ります。
もっとこうしてあげたらよかった、という思いがずっと残るんです。
その中でも、ミントという子猫のことは忘れられません。
まだ4ヶ月ぐらいの子でした。
誰かに虐待されて、動けなくなっていたところを、第三者の方が拾って、うちの玄関先の自転車のカゴに入れていたんだと思います。
最初は、ただ子猫が捨てられているのかなと思いました。
でも抱き上げて下ろしてみると、歩けない。
お尻から血が出ていました。
先生によると、尻尾を持って地面に叩きつけられたような状態だったそうです。
大腿骨や骨盤も骨折していました。
病院で治療してもらいましたが、まだ小さくて麻酔がかけられないと言われました。
行きつけの病院では、これ以上することがないと言われてしまいました。
その後、SNSでつながっていた方から教えてもらって、東大阪の先生のところまで連れて行きました。
入院させてもらって、手術もしてもらいました。
でも、結局助かりませんでした。
病院で一人で亡くならせてしまったことが、今でも悔しいです。
先生には毎日会いに来てあげてねと言われていたんですが、仕事もあって、2日に1回ぐらいしか行けませんでした。
それも今となっては後悔しています。
会いに行くと、キャリーの中からこちらに来ようとしてくれるんです。
お母さんを見つけた小さな子どもみたいに。
この子も一人で寂しいのに頑張っているんだなと思うと、本当に切なかったです。

7:看取り覚悟でも、助けたい子がいる
―事故や虐待、重い病気など、厳しい状態の子たちを保護されてきた中で、心が折れそうになる瞬間もあったと思います。それでも活動を続けてこられた理由を教えてください。
足立さん:ミントのことを思うと、やっぱり1匹でも命をつなげたいという思いがあります。
何かあった時は、ミントのことを思い出して、気持ちを奮い立たせるようにしています。
今は、活動を始めた頃に比べると、保護猫活動をする人が増えました。
子猫は保護してくださる方が多いんです。
譲渡会に出して決まれば、譲渡費用も戻ってきて、また次の子を保護したり、医療にかけたりできる。
だから、子猫は保護されやすい。
でも、大人の猫はみんなあまり保護しません。
ほったらかしにされていることが多いんです。
私は、そこに線引きがあるのが嫌なんです。
長いこと外で苦労してきた子、誰にも助けてもらえない子。
そういう子こそ保護したいという気持ちがあります。
もう看取り覚悟でもいい。
そういう思いでやっています。
8:外に猫がいない未来へ
―足立さんが理想とする、丹波市と猫の関係性はどのような形でしょうか?
足立さん:これまで、市に子猫の引き取り依頼があると、そのまま愛護センターに渡していたところを、ボランティアにつないでくれるようになったのはいいことだと思います。
でも、実際には丸投げのように感じることもありました。
一般の方が市役所に「子猫がいるので引き取ってください」と電話すると、私の携帯番号だけを伝えられて、「ここに電話してください」という対応だったこともあります。
その後のフォローはありません。
地域猫の手術だけでなく、その後も面倒を見ていく必要があります。
だから、そういう部分への助成や支援も必要だと思っています。
それから、啓蒙啓発も大切です。
丹波はまだ外に猫を出している人も多いです。
でも、外飼いが不幸な猫を増やしていると感じています。
市役所だけで一方的に発信するのではなく、実際に活動している人の話を聞いて、広報や情報発信に反映してほしいです。
命の大切さを伝えることや、譲渡会の会場を提供することなども、できることだと思います。
―将来的に、猫と人の関係はどう変わってほしいですか?
足立さん:外に猫がいないことを望みます。
地域猫もなくなっていてほしいです。
「最近、外に猫がいなくて寂しい」と言う方もいます。
でも、それは人間側の感情です。
外で生きる猫たちは、怖い思いも、ひもじい思いも、辛い思いもたくさんしています。
猫は愛玩動物です。
今の家猫は、人間が作り出してきた存在で、野生では生きていけません。
だから、みんな飼われている猫になってほしいと思っています。

9:若い人たちが支援を届けてくれること
―今回のアパレルコラボのお話を聞いた時、率直にどのように感じられましたか?
足立さん:最初は正直、なんでこんな小さい、ほとんど一人で活動しているようなところに声をかけていただけるんだろうと、すごく不思議でした。
一瞬、悪い話ではないよねと思ったくらいです。
でも、活動を見させていただいて、たくさんの団体さんともコラボされていて、一生懸命サポートされているのを知りました。
皆さん若いのにすごいなと思いました。
感動しています。
―今回のコラボを通じて集まる支援は、どのように使いたいとお考えですか?
足立さん:今のシェルターはシニア猫が多くて、医療費がとてもかかります。
なので、集まった支援は医療費として使わせていただけたら嬉しいです。
10:正しい知識が、不幸な犬猫を減らす
―最後に、インタビューを読んでいる方へ、今伝えたい思いをお願いします。
足立さん:犬も猫も、飼い主さんしか守ってあげられる人はいません。
だから、正しい知識を持って飼っていただきたいです。
それができれば、本当に不幸な犬や猫はいなくなると思います。
犬嫌い、猫嫌いの人が不幸な犬や猫を作り出しているのではなく、意外と犬好き、猫好きの人が、知識がないまま間違った飼い方や可愛がり方をして、その結果、不幸な犬や猫になっていることが多いと、活動を通して感じています。
正しく飼っていただきたいです。
そして、迎える時は、ぜひ保護犬や保護猫を選んでほしいと思います。

