大阪市鶴見区にある「ONENESS CAFE & BAR」は、食事をしながら保護犬とふれあい、自然に手話にも触れられる特別な場所です。
その背景には、オーナー・神谷さん自身の経験と、「人も動物も、障がいの有無も関係なく、ひとつにつながれる場所にしたい」という強い想いがあります。
本記事では、その想いの原点から現在の活動、そして未来へのビジョンまで、10のテーマで紐解きます。
1.カフェを開業されたきっかけや背景
――「Oneness」という名前に込められた想い
神谷さんは、保護犬シェルターで働く前、約5年間うつ病に苦しんでいました。
そのつらい時期に支えになってくれたのが、担当していた保護犬たちだったといいます。犬たちの存在のおかげで、少しずつ自分を取り戻していきました。
「今度は自分が犬たちに恩返しをしたい」
その想いから、「人と保護犬が安心して出会える場所をつくろう」と決意します。
現実には、人の事情で行き場を失う犬や猫は今も多く存在します。しかし、その現状を知るきっかけはまだまだ少ないです。だからこそ、気軽に保護犬に触れられる「出会いの場」が必要だと感じています。
さらに、「耳が聞こえないから保護活動ができない」という声を受け、障がいの有無にかかわらず関われるきっかけをつくりたいという想いも、開業の大きな理由になりました。
店名の「Oneness」には、
人と動物、そして障がいのある人もない人も、すべてがひとつにつながれる場所に、
という願いが込められています。
2.現在の主な活動内容とカフェのスタイル
ONENESS CAFE & BARの人気メニューは、実家で育てたお米を使った「おむすび定食」と、小麦粉不使用の手作りスパイスカレーです。
食事を楽しみながら、保護犬や手話に自然と触れられる空間づくりを大切にしています。
店内には、保護犬とふれあえるスペースがあり、接客には手話も取り入れています。
ボランティアスタッフによるハンドメイド作品も展示販売されており、イベントの開催も行っています。
食事やイベント、作品の売上の一部は保護活動に充てられており、
「来店そのものが支援につながる」──それがONENESS CAFE & BARの特徴です。
3.ONENESS CAFE & BARの一番の魅力
ONENESS CAFE & BARの一番の魅力は、
「人と犬、人と人が自然につながれる雰囲気」にあります。
ここを訪れたことで、保護犬の存在を初めて知る人もいれば、手話に初めて触れ、「自分も学んでみたい」と感じる人もいます。
その体験が、保護犬との出会いや手話を学ぶきっかけになることもあります。
カフェで過ごす時間が、「新しい一歩」を踏み出すきっかけになっています。
4.イベントや講座に込めた想いと、その反響
ONENESS CAFE & BARでは、手話教室や保護犬ふれあいイベントなどを通じて、
「もっと自然に福祉や保護活動を知ってほしい」という想いを形にしています。
参加者からは、
「楽しく学べて世界が広がった」
「保護犬猫の現状を知り、周りにも伝えたいと思った」
といった声が寄せられています。
また、聴覚障がいのある方が企画したイベントと保護活動を結びつけることもあり、互いにプラスになる関係が生まれています。
5.印象に残っているお客様とのエピソード
店内では、さまざまな「相互作用」が起きています。
保護犬に興味を持って来店した人が、そこから手話を学び始めます。
反対に、手話に関心があって訪れた人が、保護犬活動に関わるようになります。
そうした“つながりの循環”が、日常的に生まれています。
中でも神谷さんが忘れられないのは、あるお客様が初めて手話で「ありがとう」と伝えてくれた瞬間です。
その方は「緊張したけど嬉しかった」と話し、神谷さん自身もとても嬉しかったのを覚えています。
6.SNS発信で大切にしていること
SNSでは、保護犬や手話の魅力を「特別なもの」ではなく、もっと身近なものとして感じてもらうことを意識して発信しています。
保護犬は決して“かわいそうな存在”ではありません。
個性や可愛らしさにあふれ、人と暮らすことで喜びを与えてくれる存在です。
だからこそ、日常の姿を写真や文章で伝え、
“身近で愛おしい存在”として感じてもらえたら嬉しいと考えています。
また、手話は単なるジェスチャーではなく、れっきとした「言語」であり、人と人を深くつなげる力を持っています。
今後は写真や文章に加え、手話を使った啓発動画などにも挑戦したいと考えています。
神谷さんは、SNSが情報を伝えるだけでなく、
“やさしい気づきの連鎖”を生む場所になることを目指しています。
7.今回のアパレルコラボについて
アパレルとのコラボレーションについて、神谷さんは大きな期待を寄せています。
ファッションとカフェ、そして保護活動がつながることで、これまで届かなかった層の人たちに活動を知ってもらえる可能性が広がります。
「かわいいから手に取った」という一歩が、命を守るきっかけになるかもしれないからです。
また、保護活動の現場は「おしゃれをしにくい」環境になりがちだと感じています。
だからこそ、ファッションとしておしゃれを楽しみつつPRにもつながる仕組みがあれば、保護活動をする人も、応援する人も嬉しいのではないかと考えています。
8.保護活動に馴染みがない方へ伝えたいこと
保護活動と聞くと、「かわいそうな動物を助けること」というイメージが先行しがちです。
しかし、実際の保護犬や猫たちは、人との関わりの中で少しずつ生き生きとした表情を見せてくれます。
ONENESS CAFE & BARで感じてほしいのは、彼らを“助ける対象”ではなく、“かけがえのないパートナー”として見てほしいということです。
また、支援の方法は譲渡だけではありません。
カフェに足を運ぶこと、SNSを見てみること、友人や家族に話題として伝えること――それらもすべて立派な支援です。
小さな関わりの積み重ねが、犬や猫の未来を大きく変える力になります。
「保護」という言葉にとらわれすぎず、もっと自然に、もっと身近に触れてみてほしいです。
犬や猫と過ごす時間が“日常のやさしいひととき”となり、そこから広がる関心が、また次の力になっていきます。
その「やさしい循環」こそが、ONENESS CAFE & BARが目指す未来です。
9.手話での接客に込めた想い
神谷さん自身、聴覚に障がいがあり、日常的に手話を使っています。
手話で接客をするのは、耳が聞こえない方も安心して来られる居場所をつくりたいという想いからです。
実際に、来店されるお客様の半分近くは聴覚障がいのある方だといいます。
犬を飼っているけれど情報を共有する機会がなかった方、愛犬の思い出を語りながら涙を流す方…。
手話を通じて心が通じ合う瞬間は、神谷さんにとってもかけがえのない時間です。
一方で、保護犬の中には手の動きを怖がる子もいます。
だからこそ、神谷さんは伝えたいと考えています。
手話は「叩くための手」ではなく、「伝えるための手」だということを。
楽しそうに手話で会話する姿を見せることで、犬たちにも「手は怖くない」と感じてもらえたら嬉しいと話します。
10.今後のビジョンと、読者へのメッセージ
これからもONENESS CAFE & BARは、
「人と犬と社会をつなぐカフェ」としての役割を大切にしていきたいと考えています。
地域の人、障がいのある人、保護犬猫が、自然につながれる居場所を広げていくこと。
そして、「耳が聞こえないから諦めていた」「現場に行くのは不安」という人たちでも関われる仕組みを増やしていくことが、神谷さんの目標です。
最後に、読者へのメッセージを借ります。
このインタビューを読んで「ちょっと行ってみようかな」「調べてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。
あなたの一歩が、命を救う力になります。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
今日もONENESS CAFE & BARは、誰かの小さな一歩を受け止めながら、静かに扉を開けています。
11.記者のあとがき
店名の「ONENESS(ひとつ)」という言葉は、神谷さんご自身の生き方そのものだと感じました。
人と動物、そして障がいのある人もない人も──すべてがひとつにつながる場所。
その意味を、カフェという形で体現しているのがこのONENESS CAFE & BARです。
訪れる人が保護犬の存在を知り、初めて手話に触れ、学びたいと感じる。
そんな“きっかけ”が自然に生まれる空間でした。
週末には水彩画体験会や犬用メディカルアロマ体験など、多彩なイベントも開催され、
まさに「すべてがひとつに繋がる場所」だと実感します。
こうした場が増えることで、人と人、人と動物、そして社会全体のつながりも広がり、
保護犬たちにとってもより幸せな未来が訪れるのではないでしょうか。
保護犬たちにとって、“手”は時に怖いものだったかもしれません。
けれど、神谷さんの言葉にあるように、手話や撫でることは「伝えるための手」。
その“手”が、優しさと愛情を伝えるものであることを、多くの人に知ってほしいと感じました。
今回のコラボデザイン “Hands Speak Love(手は愛を語る)” には、
そんな想いが込められています。
ぜひ、デザインとともにそのメッセージにも触れてみてください。
